早いもので、今年も残すところあと数日となりました。長く続いた世界的な新型コロナウイルス禍もようやく落ち着きを見せ始め、UAPACAAパートナーズのスタッフも数年ぶりにアフリカ渡航がかないました。来年もこの調子で穏やかな日常が戻ってきてくれることを期待しています。
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UAPACAAパートナーズでは、11月3日にボノボの里Mbaliのエコツアー振興を盛り上げていくために、日本の皆さまを対象としたオンラインイベント「『ボノボの里』オンライン交流会」の第1弾を実施いたしました。当日は文化の日で祝日でしたが、zoomを用いたオンライン開催ということもあってか、スタッフと関係者を除くと20名以上の皆さまにご参加いただきました。ありがとうございました。
今回は、首都キンシャサから約200km離れたマイ・ンドンベ州に位置するMbali地区の自然保護NPO「Mbou Mon Tour(ボー・モン・トゥール:MMT)」のメンバーたちもオンラインで参加してくれました。その中で、メインでお話ししてくれたのはMMT副代表のクロードさん。今回のイベントでは、現地の雰囲気を味わってもらうために、あえて現地で話されているリンガラ語で話してもらいました。MMT結成の前日譚や、Mbali地区のボノボ保護活動、UAPACAAパートナーズとの関係について語るうちに徐々にエンジンがかかってきたのか、話が止まらない!コンゴに住む彼らが、日本の皆さまに直接声を届ける機会はこれまでになかったことから、彼らも楽しみにしてくれていたようです。こちらの想定を大幅に上回って、大いに語ってくれました。そのおかげで、普段、日本ではなかなか聞くことのできない生のリンガラ語を、現地さながらに大いに堪能していただけたのではないかと思います。 途中で動画資料が途切れたり、あいにくコンゴ側との接続が悪く、Mbaliの風景などを中継できなかったりと、次回に向けての課題も見えてきました。今回は、色々な方にコンゴ民主共和国やボノボについて広く紹介しようという趣旨でしたが、次回以降は、よりディープなオンラインイベントを企画しています!第2弾の開催日はまだ決まっていませんが(近日開催予定)、今回同様の夜の時間帯で、2時間に拡大してお届けする予定です(今回は時間が足りませんでした。すみません!)。現地から実際のエコツアーを念頭に置いた、Mbali地区の人びとの暮らしぶりや、雄大な自然環境、そこに生息するボノボをはじめとした野生動物たち、そしてMMTの保全活動など、もっともっと知りたくなる、実際に現地に行ってみたくなるようなイベントにしたいと思います。 そして、第3弾のイベントでは、いよいよわれわれが実際に現地を訪問し、中継することが出来そうです!! どうぞお楽しみに!! 11月3日、Mbou Mon Tourの仲間たちと語らうコンゴ民主共和国のこと8月から9月にかけて、UAPACAAパートナーズのスタッフは、カメルーンやコンゴ民主共和国(DRC)のフィールドに、ようやく出かけることができました。2年半以上のご無沙汰に加え、新型コロナの水際対策でビザ申請からして様変わり。ネットで情報が取れる便利な世の中でも、現地に到着するまで不確実なことばかりの出張で、30数年前、初めてアフリカに出かけた当時の準備の大変さを思い出しました。 アフリカも中部の国々は、ワクチン接種も1回済が人口のようやく6%前後と少ないですが、今までのところコロナ禍の被害も小さくて済んでいます。ポスト・コロナに向けて欧米諸国が水際対策を撤廃すると、既に日常生活はコロナ前とほぼ変わらない現地でも、国際交流再開への期待が高まってきました。このバカンスシーズンには、エコツーリズムが盛んな東アフリカではコロナ前の賑わいが戻っていたそうです。
世界第2位の流域面積を誇る大河・コンゴ河のほとりに作られた都市キンシャサ。コンゴ民主共和国の首都として栄え、かつてはアフリカのニューヨークとまで呼ばれた一大都市です。人口は1000万人をはるかに超え、1500万人とも1700万人に迫るとも言われています。
しかし、残念ながらかつての面影はありません。90年代の内戦と政治的混乱により崩壊した経済は、未だ再建の途上にあります。修理されないデコボコの道路、手入れが成されないまま朽ちていく一方の建築物、それとは対照的に100年近く経っても未だに利用され続けているベルギー植民地期の教会。キンシャサは、あたかも時の流れが日本とは異なるかのようです。首都でこの状態なのですから、地方の状況は言うまでもありません。 街の様子ははかばかしくありませんが、そこに住む人びとはエネルギーに満ちあふれています。政府は何もしてくれないと骨身にしみている彼らは、収入の機会を何とか探りながら、一日一日を必死で生き抜いています。首都から約200km北のマイ・ンドンベ州に位置するMbali地区の、自然保護NPOであるMbou Mon Tour(ボー・モン・トゥール)も、「自分たちの森は自分たちで護る」を合い言葉に結成されました。彼らは、国や行政に頼ることなく、自分たちの集落周辺に広がる森と、そこに生きる野生動物たちを護る決意のもと、これまで活動を続けてきました。 このたびUAPACAAパートナーズでは、MMTに対して超望遠機能を備えたデジタルカメラ2台と三脚を支援することになりました。代表たちとの協議の結果、森を遊動するボノボを記録するには、彼らのカメラでは限界があるという意見がでたためです。今回支援したカメラでは、樹上のボノボたちの表情や姿も撮影することが可能で、これはボノボの個体数の把握や個体識別といった、エコツーリズムと保全活動の前提となる基礎的なデータ収集に大きな力を発揮してくれるでしょう! みなさん、アフリカの森を歩くと聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?薄暗くジメジメした空気に包まれながら、鬱蒼と生い茂った下生えを汗だくでかき分け、危険な毒蛇に気をつけながら道なき道を進む…
ひょっとすると、こんなイメージを持たれるかもしれません。半分当たっていて、半分外れです。 湿度が高いのは間違いありませんが、あまり日が差し込まないため気温はそれほど高くありません。近頃の日本では厳しい真夏日が続いていますが、それと比べればアフリカの森はずっと涼しく天国のように思えます。また、森歩きをする際には、誰も通ったことがない藪を通ることはそれほど多くありません。特に集落の近くの森は、地元の人びとが日々の生活で利用しています。畑を開いたり、罠を仕掛けたり、おかずにするイモムシや果実の採集に行ったり、森を流れる小川に網を仕掛けに行ったり、家を建てるための建材を探しに行ったりと、人びとは森の中で様々な生業活動をおこなっており、ひっきりなしに行き来しています。そのため、森の中には人が通って踏み固められた小道が縦横無尽に張り巡らされているのです。毒蛇や他の野生動物も、人が頻繁に行き来する森の往来にはあまり寄りつきません。このため、森の中の道を歩いている限りは、それほど大変ではありません。 やっかいなのは、森の道から外れて進むときです。とたんに足下の見通しが悪くなり、用心して歩かないと草や木々の根っこに足を取られ、トゲの生えたツル植物がまとわりついてきます。足下に気を取られていると、いつの間にかどこを歩いているのか分からなくなることも… 普段はこのようなことにはなりませんが、ボノボなどの野生動物を観察するために森を歩いているときには、どうしても道なき道を進む必要があります。なにしろ、動物は、道のある場所を選んで歩いてくれません。そんなときに頼りになるのは、地元の人です。彼らは、小さい頃から森を遊び場として生活してきました。そうして培われた経験、生えている樹種、地形などの様々な目印を頼りにして、彼らは森の中で自分がいる位置を知るのです。 そのため、アフリカの森の中でボノボなどの野生動物を観察する際には、地元の人びと、特にトラッカーと呼ばれる野生動物を追跡する特別な訓練を受けた人びとの協力が欠かせません。彼らは、本プロジェクトが構想するエコツーリズムの要であり、彼らが日々集める情報が保全活動の土台となっているのです。UAPACAAパートナーズと協力しているMbou Mon Tour(ボゥ・モン・トゥール:MMT)は、トラッカーたちのまとめ役でもあります。地球環境基金のプロジェクトでは、彼らと協働でトラッカーの研修機会を用意する予定です。そうした活動を通じて、トラッカーやMMTと共によりよいエコツーリズムと保全活動を目指していきます! 世界中を大混乱に陥れた新型コロナウィルス。人とモノの移動が著しく制限され、2年以上に渡って、人びとは不自由な状況に耐えてきました。このことは、コンゴ民主共和国でも変わりません。幸い、我々と活動を共にしてきたバリ地区の住民たちに、感染者は出ていません。しかし、以前から協議と準備を積み重ね、ようやく試行段階にまで漕ぎ着けようとしていたエコツーリズムは、世界的なコロナウィルス禍によっていったん白紙状態にまで戻ってしまいました。
2022年になって、ようやくコロナウィルス禍は収束の兆しを見せ始めています。しかし、世界的な生産、流通、移動の停滞は依然として我々の生活に大きな影を落としています。我々が、バリ地区の人びとや地元の環境保全NPOであるMbou Mon Tour(ボゥ・モン・トゥール;MMT)のメンバーと準備してきたエコツーリズムのプランも、そのままでは今のウィズ/ポスト・コロナの時代にそぐわないものとなってしまいました。 しかし、我々も、バリ地区の人びともこんなことでは諦めません! 今の時代に合った、新しいツーリズムの可能性を追求して、活動を再始動させました。そのための第一歩として、幸運にも独立行政法人環境再生保全機構が運営する「地球環境基金」から助成を受けることとなりました。 ここから、UAPACAAパートナーズとMMT、そしてバリ地区の人びとは、エコツーリズムを通じた地域振興とボノボの保護、そして森林生態系の保全活動へと、再びスタートを切ります。 このページでは、これから2年間続く「つづける助成」プロジェクトの経過や進展についてお知らせしていきますので、応援よろしくお願いいたします! |