みなさま、いかがお過ごしでしょうか?コンゴ民主共和国への出張でUAPACAAパートナーズ代表の岡安とアシスタントの私、山口は、ボノボの里であるMbali地区を訪問し、無事に帰国いたしました。
現地では、NPOのボー・モン・トゥール(Mbou Mon Tour:MMT)の宿泊施設に滞在しました。そこでは、衛星通信でインターネットが使えるようになっていました。私事で恐縮ですが、2008年からカメルーン、2011年からコンゴ民主共和国で調査を始めて以来、コンゴ盆地の熱帯林のまっただ中に通い続けてきた身としては、まさに隔世の感があります。 さて、そんな繋ぎ放題のインターネットを利用したオンライン交流会第3弾がわれわれの滞在中である2月14日に実施されました。2月14日はバレンタインデーとして世間一般では知られていますが、実は「世界ボノボの日」でもあります。ボノボを中心に据えた自然保護とエコツーリズムを目指すMMTとのイベントに、まさにうってつけの日だったと言えるでしょう! 到着からイベント当日までの数日間、代表の岡安と私はMMT基地周辺の村々への挨拶回り、そしてMMTメンバーによって人づけと観察が継続されているボノボの群れの観察に行っていました。どの村々に行っても、待っていたよ!とばかりに熱烈歓迎で、MMTの活動とエコツーリズムが人びとの強い関心を集めていることがうかがえました。また、代表の岡安は5年ぶりの訪問ということで、旧交を温めていました。 私自身は、初めて訪問した環境で大変戸惑いました。いつもの感覚では、村々は厚い森の木々に覆われ、道を歩いていても木々の隙間から空を眺めるというイメージなのですが、Mbali地区は全く異なります。広がる草原(リンガラ語でイソベといいます)とその向こうに広がる森という景観は、いつもののフィールドワークと違って、何だか開放感があります。 さて、今回のイベントでは、Mbali地区までの道中の映像と、到着以降、各村々での挨拶の様子や、森で撮影したボノボの映像を皆さんにお見せしました。私が撮影・編集したものの他に、MMTの契約しているカメラマン、ベテル・マゾノさんが撮影したものもあります。彼は、キンシャサの映像制作会社MDB Image所属のカメラマンで、映像の撮影・編集、ドローンの操作など、まさに八面六臂の活躍で、あっという間に素晴らしい映像を仕上げてくれました。森の中でボノボのクローズアップを撮影したのは彼です。 ただ、繋ぎ放題のネット回線とはいえ、流石に回線の容量が足りなかったのか、ベテルさんによる素晴らしい映像は駒落ち&低画質になってしまったようです。楽しみにしてくださった皆さまには、申し訳ありませんでした。衛星通信の弱点は悪天候に弱いことなのですが、イベントの途中から雲が広がりだし、遠くで雷が鳴り出すような状態でしたので、ますます通信速度が遅くなってしまったようです。「雨が降ったらお休みで~」を地で行く世界です。 そんな悪条件の中でも、コンゴ側ではボノボを追跡するトラッカーたちや、MMTのプロジェクトに賛同する多くの人びとが参加してくれました。画面には映り切りませんでしたが、総勢で30名近くの人びとがパソコンの前にいました。今回、日本の皆さまにご紹介することが出来たのは、その中でもほんの一部の人びとでしたが、それぞれに日本の皆さまに対する熱いメッセージを送ってくれたと思います。 さて、今回みなさまにお見せしようとした映像や写真ですが、今後、改めてYOUTUBEのUAPACAAパートナーズのチャンネルで公開することになると思います。今回お見せしようとしたものの他にも、まだまだお見せしたい映像は沢山あります。少しずつ公開していきますので、YOUTUBEチャンネルの方もお見逃しなく!
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みなさま、寒い日もようやく緩んできましたが、いかがお過ごしでしょうか?UAPACAAパートナーズのお手伝いをしている山口です。このたび、地球環境基金のプロジェクトの一環でコンゴ民主共和国のMbali地区を訪問することになりました。
私は、これまでカメルーンの東部州やコンゴ民主共和国の赤道州で人類学的な調査をおこなってきました。コンゴでの調査は、ボノボ研究で有名なワンバ地域で、住民の生業活動と地域産物の商品化について調査しています。ワンバ地域をはじめとするコンゴの内陸部は深い熱帯林に覆われており、交通手段が限られています。かつては、コンゴ河とその支流を利用した河川交通が盛んであり、外国籍や国営のプランテーション会社が内陸部でコーヒーやヤシ油の買い付けを行っていました。彼らは、陸上交通網を整備し商品の買い付けを行うと共に、衣類や日常雑貨などを内陸部の村々に運び込みました。しかし、90年代〜2000年代初頭まで続いた内戦の影響で、内陸部におけるプランテーション会社の活動は停止、彼らが維持していた陸上交通網と商品流通は、あっという間に荒廃してしまいました。 戦後20年を経てもなお、それらは復興していません。このため、ワンバ地域の人びとは、失われた現金収入と商品を購入する機会を求めて徒歩交易をはじめました。自分たちの地域でとれた魚やキノコ、食用のイモムシ、農作物などを背負って、森の中の道を歩き、都市部まで売りに行くのです。その距離、なんと片道200km以上で、2週間程度で往復します。このように、ワンバ地域は交通手段が非常に限られており、経済活動も難しい状況にあります。そのため、この地域の課題は、徒歩に変わる交通・流通手段の模索と、都市部で需要が高い地域産物の特定です。古くからボノボ研究が行われている地域ですが、あまりにもアクセスしにくい地域なのでエコツーリズムで地域振興というわけにもいきません。 それに対して、Mbali地区は、首都のキンシャサからは近く、交通の盛んなコンゴ河にもアクセスしやすい位置にあります。この点に関しては、これまで私が調査をおこなってきたワンバ地域とは正反対です。Mbali地区の住民がどのようにして現金収入を得ているのか、ワンバ地域との比較という点からも関心があります。 また、Mbali地区で活躍するNPOボー・モン・トゥール(Mbou Mon Tour:MMT)は、住民が主体で立ち上げ、今日まで運営している点が特徴です。ワンバ地域にも住民主体の組織がいくつもあるのですが、活動に対するモチベーションの維持が難しく、また離合集散が頻繁におこります。MMTが安定的に活動してきているとすれば、その秘訣は何なのか、どういった活動を普段から行っているのかなど、ワンバ地域の住民組織がお手本にすることが出来る点があるかもしれません。 今回、Mbali地区に滞在できるのは1週間強であり、時間は限られていますが、以上のような観点からMbali地区とMMTの活動について学ぶことが出来ればいいなと思っています。また、これまでカメルーンでもコンゴでも熱帯林の中で調査をしてきましたので、Mbali地区のような森とサバンナの境界にあたる地域に滞在するのは初めての経験です。このような自然環境の違いもどのように肌で感じられるのか、楽しみです。 それでは、コンゴに行ってきます! |