みなさん、アフリカの森を歩くと聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?薄暗くジメジメした空気に包まれながら、鬱蒼と生い茂った下生えを汗だくでかき分け、危険な毒蛇に気をつけながら道なき道を進む…
ひょっとすると、こんなイメージを持たれるかもしれません。半分当たっていて、半分外れです。 湿度が高いのは間違いありませんが、あまり日が差し込まないため気温はそれほど高くありません。近頃の日本では厳しい真夏日が続いていますが、それと比べればアフリカの森はずっと涼しく天国のように思えます。また、森歩きをする際には、誰も通ったことがない藪を通ることはそれほど多くありません。特に集落の近くの森は、地元の人びとが日々の生活で利用しています。畑を開いたり、罠を仕掛けたり、おかずにするイモムシや果実の採集に行ったり、森を流れる小川に網を仕掛けに行ったり、家を建てるための建材を探しに行ったりと、人びとは森の中で様々な生業活動をおこなっており、ひっきりなしに行き来しています。そのため、森の中には人が通って踏み固められた小道が縦横無尽に張り巡らされているのです。毒蛇や他の野生動物も、人が頻繁に行き来する森の往来にはあまり寄りつきません。このため、森の中の道を歩いている限りは、それほど大変ではありません。 やっかいなのは、森の道から外れて進むときです。とたんに足下の見通しが悪くなり、用心して歩かないと草や木々の根っこに足を取られ、トゲの生えたツル植物がまとわりついてきます。足下に気を取られていると、いつの間にかどこを歩いているのか分からなくなることも… 普段はこのようなことにはなりませんが、ボノボなどの野生動物を観察するために森を歩いているときには、どうしても道なき道を進む必要があります。なにしろ、動物は、道のある場所を選んで歩いてくれません。そんなときに頼りになるのは、地元の人です。彼らは、小さい頃から森を遊び場として生活してきました。そうして培われた経験、生えている樹種、地形などの様々な目印を頼りにして、彼らは森の中で自分がいる位置を知るのです。 そのため、アフリカの森の中でボノボなどの野生動物を観察する際には、地元の人びと、特にトラッカーと呼ばれる野生動物を追跡する特別な訓練を受けた人びとの協力が欠かせません。彼らは、本プロジェクトが構想するエコツーリズムの要であり、彼らが日々集める情報が保全活動の土台となっているのです。UAPACAAパートナーズと協力しているMbou Mon Tour(ボゥ・モン・トゥール:MMT)は、トラッカーたちのまとめ役でもあります。地球環境基金のプロジェクトでは、彼らと協働でトラッカーの研修機会を用意する予定です。そうした活動を通じて、トラッカーやMMTと共によりよいエコツーリズムと保全活動を目指していきます!
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