9月28日(月)のイギリスのニュースで、ミッドランド東部のリンカンシャーの野生動物公園で、一緒に検疫期間を過ごしていた5羽のヨウム(アフリカンパロット)が、誰かが人間から拾った悪態を教え合い、みんなでまくしたてるようになるという、可笑しいエピソードが話題になった。
2020年9月28日、LincolnshireLive記事 "Swearing parrots removed from public view at popular Lincolnshire attraction"(英語) 1500羽のヨウムを擁するリンカンシャー野生動物公園が、一般開放から隔離せざるを得なくなったのは、一般の人たちから別々に寄贈され8月15日に到着した5羽。同じ日に入園したので同じ部屋で検疫期間を過ごしているあいだに、誰が教えたのか、みんな卑猥な言葉を覚えてしまった。ヨウムの物まね能力はオウムの中でも秀でており、しかも群れでいっせいにけたたましく騒ぎ立てるのが得意。この5羽もご多分に漏れず、スタッフに向かって寄ってたかって行儀の悪い言葉を叫ぶので、思わずゲラゲラと笑っていたところ…。 人間に受けているのを見て、ますます悪乗りして悪態をつくだけでなく、ついた後に人間と同じように笑うようになってしまったのだとか!! 公園長のスティーブ・ニコルズさんいわく、 「25年も営業していますとね、たまにはこういった“育ちの悪い”ヨウムも来るし、我々も慣れっこになっていました。実際、ヨウムが迫真の演技でこちらに向かって悪態をつく様子は滑稽で、傑作な笑いのネタでした」 「で、こちらが笑うと一緒になって笑い、さらに悪態を重ねる…それが1羽ならいいんですが」 「この5羽は、1羽が悪態をつくと他が笑い、それにかぶせて別の1羽か卑猥な言葉を叫ぶといった調子で、まるで仕事帰りのパブで展開する“オールドメンズクラブ”の、酔っ払いたちのありがちなシナリオのようになりましてね」 検疫期間を終えた5羽は、さっそく展示スペースのケージに移されたが…20分もしないうちに「ヨウムが見学客に悪態をついている」という報告が上がり、次のグループにはあらゆる卑猥な言葉が投げかけられる始末。ある若いお嬢さんなどは、ヨウムたちの集中攻撃の的になってしまったのだとか。 「幸いお客さんたちは気にせず、笑える余興だと捉えてくださったんですが、これから週末に子供さんの見学が増えます。さすがに教育上よろしくないので、しばらく隔離することにしました」 もう半年以上も続く辛いコロナ禍の中、明るい笑いを提供したい気持ちはやまやまだそうだが、5羽は山側の飼育場に移され、周りのヨウムたちから”正しい“鳴き方を学んでいる。様子を観ながら、5羽一緒ではなく分けて別のグループに入れて、悪態を”目立たないように”しながら再デビューすることになりそうだ。 (公開されたCNNの和訳記事があるが、本来の記事のニュアンスが面白いので、元記事から訳出した) 実は野生のヨウムもとびっきりひょうきんで、人間を出し抜く知恵も相当なもの。そんなアフリカのエピソードたっぷりのUAPACAAメルマガ6号(10月8日発行)は、今なら賛助会員特典で読めます!
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カメルーン東南部には、狩猟採集民バカが住んでいる。彼らは現在も狩猟採集生活を営んでいるが、独立後の定住化が進むまでは、固定の住居をほとんど持たずに食物を探す移動生活を、一年を通して続けていた。
狩猟採集生活と聞くと、「生死の境目で常に食べ物を取り合う弱肉強食の世界」を思い浮かべるかもしれないが、初めて彼らのキャンプを訪れたときには、そのあまりののんびり感にむしろこちらが心配になった。女性や子供はおしゃべりしたり、歌ったり、おやつを食べたり、遊んだりしながら、森で食べ物を集めてくる。他方で男性や年配の人は自宅周辺で小枝や蔓をいじり、家でゴロゴロしていることが多い。 バカの人々の所有物は非常に少ない。彼らの家財道具一式(家具・調理道具・服・狩猟道具など)合わせても一人80〜90点と、最低限のものしか所有していない。移動性の高い生活に合わせ荷物を最小に抑えているのであろうが、これは彼らの生き方と熱帯林という環境も関係している。道具や家、おもちゃが必要になったら近くに生えている葉や枝、木から自分たちで作り、使用後は自然のゴミ箱へポイである。無論、取ったところに戻すだけなので全く問題はない。狩猟採集も同様に、「必要な時に必要な分だけ」森で獲ってくる。 また、バカのコミュニティは平等社会で人間関係を大切にする。困った時はお互いに助け合うという構造が根付いている。ここでは自分のものを所有するという観念が薄く、シェアすることが当たり前に行われる。彼らには暗黙のルールがあり、狩りで獲物を仕留めた者はその肉を食べることができず、それ以外の人(家族・親戚・友人等)に分配される。獣肉に限らず、一人だけ多くの財(主に食料)を持っていることはタブーとされ、それを破る者は共同体、そして相互扶助ネットワークから除外される。 このような、平等社会と彼らの生き方「獲りすぎない」、「必要な時に必要な分だけ」は、ジャングルの正常な生態系バランスに、見事に適った暮らしに見えた。ブッシュミート交易により野生動物の乱獲が横行する現代、バカの人々の生活を見習う必要がありそうだ。 皆様の暖かいご支援お待ちしております! 私たちのプロジェクト対象地域、カメルーン東南部の熱帯雨林に住む狩猟採集民バカは、ピグミーという総称で呼ばれている人々だ。アフリカ中部にはコンゴ盆地を中心に8つほどのピグミーが散在し、多くの共通点を持つ。その中でも普遍的に見られるのが、特徴的な歌と踊りの儀式「べ」である。バカたちも他のピグミーと同じように「森の精霊」が登場する儀式を夜な夜な行なっている。 夜、人々は集落の広場に集まり、歌とダンスを楽しむ。この「べ」と呼ばれる集いには、10の精霊が登場し、それぞれキャラクターを持っている。精霊に扮した男性たちは、役に応じて体を痙攣(けいれん)させるように絶えず動く。踊り手はアドリブで森の中へ入ったり、戻ってきたり色々な舞台を演じる。もう一つ、ベに欠かせないのが女性の歌い手だ。彼女たちは裏声を使ったり、様々な音を出したりして、多声音声(ポリフォニー)を奏でる。 観客はより質の高いパフォーマンスを期待して歓声をより大きくあげ、歌い手も盛り上げようと一心に歌う。そしてダンサーはそれに応えて更に激しく熱心に踊る。このようにお互い刺激し合いながら作り上げている儀式なのだ。ダンサーと歌手と森の音が混ざり合って一つになる迫力のショーを是非この目で観てみたい。 【もっとお読みになりたい方はこちら】 私たちのプロジェクト対象地域、カメルーン東南部には、狩猟採集民バカ・ピグミーが広範囲にわたって住んでいる。彼らはとにかく甘いものには目がない。しかし主な生活圏となっている森では、砂糖やお菓子は大変貴重で、森を抜けたところにある村でも高級品だ。ところが、バカたちは森でしか採れないスウィーツを知っている。それは蜂蜜。私たちはその蜂蜜取りに同行してきた。蜂蜜といっても、花や蜂の種類によって、色、味、香り、粘りが全く違う。
今回は、子供達と一緒に針なし蜂の巣(ダンドゥー)を取りに行く。あらかじめ印をつけておいた巣のあるポイントに着くと、男も女も関係なく、それぞれ蜂の巣を入れるバスケットを作ったり、木に登ったり、使えそうなものを探してきたり、おしゃべりしたり、じゃれて遊びながらテキパキ動く。手際よく木の上の巣を切り落とし、15分程度であっという間に大量の巣を運んできた。樹皮のような茶色く分厚いセルを剥がすと蜜が流れ出し、それを無駄にしないように急いですする。量にすると2ℓのペットボトル一本くらいだろうか。日本にはない、ぶどう風味のサラサラとした甘さ控えめの蜜で、バカたちは飲み物のようにゴクゴク飲んでいた。こうして私たちはたまの贅沢を味わった。 【もっとお読みになりたい方はこちら】 「なんだこの生き物は!?」
目がクリッとしていて全身が鱗に覆われている、それでも哺乳類の仲間のこの生き物は、センザンコウである。アフリカとアジアに広く分布し、アフリカでは食肉として、中国では漢方薬や媚薬の原料として、長年重宝されてきた。そんなセンザンコウも、今やIUCN(国際自然連合)のレッドリストに登録され、「世界で最も非合法に取引されている哺乳類」と呼ばれている。2000年代に入って世界全体で野生動物ビジネスの人気が上昇するとともに、センザンコウの需要も増え、価格は1972年に比べ6倍に跳ね上がった。結果、ジャングルの狩人から世界を股に掛ける商人まで、多くの人々がこの実入りの良い仕事にシフトするようになった。センザンコウの乱獲を食い止めるためには、政府レベル、またはそれ以上の保護政策が必要になっている。 しかしながら、センザンコウはアフリカでは伝統食材として親しまれ、その捕獲は文化の一つであり、猟を全面的に禁止することに対して、国民の納得を得るのが難しい状況だ。さらに、取り締まる側が賄賂などを受け取り、密輸を黙認するという問題もしばしば起こり、政府関係者の腐敗もまた課題なのである...。 【もっとお読みになりたい方はこちら】 |