2014年に開催されたロンドン会議を受けて、その後も2回、IWT対策を検討する会議が行われた。2015年、ボツワナ会議ではロンドン宣言(London Declaration on the Illegal Wildlife Trade)の再確認と、マネーロンダリングの問題が取り上げられた。2016年にはベトナムで会議が開かれ、同じく宣言のおさらいと、違法市場の縮小などに焦点が当てられた。ゾウの違法取引撲滅に長年取り組んできたボツワナと、アジアで密輸品の大きな市場となっているベトナムで、自発的に会議が開かれたことは、参加国が努めて違法取引問題解決に取り組んでいる証左であろう。その他、アメリカ、中国、香港、台湾も、国内の象牙取引禁止の方向に動き出した。
そして昨年10月、再びロンドンに、IWT対策会議は戻ってきた。今回は50カ国以上の代表、その他政府関係者も含めると70カ国以上が集まる、さらに大規模なものとなった。過去3回の会議の要点を盛り込んだ、新たな宣言が採択されたが、実はこの4年間でいまだ目ぼしい成果は見られず、野生生物の減少スピードを食い止めきれていないのが現状だ。 密猟というアンダーグラウンドで行われる犯罪、野生生物という一見遠い存在、このような数値化が難しい問題が、4年間の努力を見え辛くしているのかもしれない。 【もっとお読みになりたい方はこちら】
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2014年、イギリス王室も呼びかけに加わり、IWT(Illegal Wildlife Trade; 野生動物の違法取引)対策に関する世界最大規模の会議が、ロンドンで開かれた。その前から各国政府による対策が試みられてはいたが、今回のように46カ国の代表とその他国際機関が集まる会議は、IWT問題にとって大きな分岐点となった。
そもそも、なぜロンドン会議が開かれたかというと、従来の個別の保護策では野生動物の減少スピードを食い止められる、希望がほとんどなくなっているせいだ。できるだけ多くの国の代表に現状を知ってもらい、イニシアティブを取ってもらう必要がある。第二次世界大戦後、アフリカで巻き起こった野生動物の乱獲。1970年ごろからの自然保護ブームでいったん下火になったと思いきや、2000年代に入ると再燃し、アフリカでは実に、万の単位でゾウが犠牲になっている。その象牙はアジアへと、何千キロも違法に旅をする。 この会議ではロンドン宣言が採択され、4つのアクションに焦点を当てているが、中でも注目は法整備だ。野生動物が多く生息するアジア・アフリカの国々では、しばしば野生動物管理に付随する法体系が確立していない。そのため、密猟をしても罪に問われなかったり、取り締まりの基準が緩いし、賄賂を初め国家公務員の汚職が横行して、ゾウが大量に密猟される結果になっている。だからこそ、原産国、消費国双方で統制のとれた法体制を確立し、IWTを締め出すことが必要なのだ。 もう一つ、地域住民のことも忘れてはならない。彼らは野生動物の一番近くに住んでいる人々だ。彼らと協力し、自然資源に頼り過ぎない持続的な発展を支えることで、住民の密猟への加担を止められるようになれば、ゾウたちの生き残りにも道が開けるだろう。 【もっとお読みになりたい方はこちら】 |