2014年、イギリス王室も呼びかけに加わり、IWT(Illegal Wildlife Trade; 野生動物の違法取引)対策に関する世界最大規模の会議が、ロンドンで開かれた。その前から各国政府による対策が試みられてはいたが、今回のように46カ国の代表とその他国際機関が集まる会議は、IWT問題にとって大きな分岐点となった。
そもそも、なぜロンドン会議が開かれたかというと、従来の個別の保護策では野生動物の減少スピードを食い止められる、希望がほとんどなくなっているせいだ。できるだけ多くの国の代表に現状を知ってもらい、イニシアティブを取ってもらう必要がある。第二次世界大戦後、アフリカで巻き起こった野生動物の乱獲。1970年ごろからの自然保護ブームでいったん下火になったと思いきや、2000年代に入ると再燃し、アフリカでは実に、万の単位でゾウが犠牲になっている。その象牙はアジアへと、何千キロも違法に旅をする。 この会議ではロンドン宣言が採択され、4つのアクションに焦点を当てているが、中でも注目は法整備だ。野生動物が多く生息するアジア・アフリカの国々では、しばしば野生動物管理に付随する法体系が確立していない。そのため、密猟をしても罪に問われなかったり、取り締まりの基準が緩いし、賄賂を初め国家公務員の汚職が横行して、ゾウが大量に密猟される結果になっている。だからこそ、原産国、消費国双方で統制のとれた法体制を確立し、IWTを締め出すことが必要なのだ。 もう一つ、地域住民のことも忘れてはならない。彼らは野生動物の一番近くに住んでいる人々だ。彼らと協力し、自然資源に頼り過ぎない持続的な発展を支えることで、住民の密猟への加担を止められるようになれば、ゾウたちの生き残りにも道が開けるだろう。 【もっとお読みになりたい方はこちら】
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