今日は11回目のGlobal Tiger Day(世界トラの日)です。 世界13のトラ生息国が一丸となって、次の寅年(2022年)までに倍増を目指すGlobal Tiger Recovery Program(世界トラ復興プログラム:英語サイト)。2010年(寅年)11月にロシアのサンクトペテルブルクで開催されたInternational Tiger Conservation Forum(国際トラ保護フォーラム)で合意され、2011年3月に出版された計画です。 2010年の段階で、各国は表にあるような目標を採択していました。 実際の全体目標としては、2010年から60%の増加を見込んだ訳ですが、それまで何十年も減り続けていたトラの生息数を増加に転じる、しかも12年をかけてトレンドが再び下向かない施策を講じながらの目標としては、大変、意欲的なものです(実は1998年の寅年にも、次の寅年2010年までに当時の野生個体数約6,000頭から倍増させる、というキャンペーンが展開されましたが、ものの見事に半減させてしまった悪夢がありました)。 そして2016年の中間ラップでは…上の表にあるように、ブータン、インドは当初目標を早くも突破、そして全体でも、最低限の推定値でも増加傾向にあることが、初めて確認されたのです!! しかしまだ、トラに対する脅威、特に密猟問題は大きく立ちはだかっており、この記事(英語)には、2000年1月から2014年4月の間に違法国際取引の犠牲になったトラが、少なくとも1,590頭に上ると報告されています。
そんな喜びに沸くTraMCAではありますが、昨年からの新型コロナのパンデミックに伴い、世界全体の観光業の落ち込みは底無しとも言える状況にあります。ブータンも例外ではなく、これからさらに厳しい現実が立ちはだかってくることが予想されています。
実はUAPACAAパートナーズでも昨年から、WWFブータンの要請を受けて各種の助成金に申請するなど、少しでも現地支援が継続できるよう努力してきました。しかし残念ながら不採択が続き、現地の期待に応えることができていません。 そこで今回、次に繋ぐために最も重要な「緑の回廊(コリドー)の整備による生息地分断の回避」のギャップに、まずは小さくても日本の支援を届けたいと、 200万円の目標を立て自力で寄附募集のキャンペーン を開始しました。こちらのボタンから、ぜひ皆さまのお志をお寄せください!! (キャンペーンは2021年9月末に終了しました。引き続き、プロジェクトへのご支援を募集中です)
0 コメント
ブータンの南西部、インドとの国境にほど近いサムツェで初めてトラが確認されたという嬉しいニュースが飛び込んできました! サムツェ森林保護区は、2014年から2015年にかけて、ブータン全土で実施されたトラの個体数調査時には、唯一カメラトラップでトラの姿を捉えることが出来なかった地域でした。 しかし、今回のニュースで状況は一変! 標高2,775mに設置されたカメラトラップにオスのトラの姿を捉えることに成功しました。 サムツェ森林保護区のソナム・ワンチュク氏は、「私たちの保護区にトラが確認されたことはとても嬉しく、皆喜んでいます。」と語っています。 サムツェでの今回の発見は、ブータンでの野生動物保護の新たな成功事例となりました!ブータン政府の強いリーダーシップと保護地域の厳格な管理が、この象徴的な種の保護につながっています。南部の標高100mの亜熱帯域から、北部の標高4,500mの高山帯までの幅広い生態系に、トラが分布していることがブータンの大きな特徴です。 ブータン・トラ・センター(BTC)では、今回確認されたトラがどこからやって来たのかを確認するために、所蔵するトラの個体画像と照合し、識別を進めています。 BTCセンター長のツェリン・テンパ博士(Dr. Tshering Tempa)は、「これでブータン全土にトラが生息していると主張できるようになりました。現場の同僚たちは、トラの記録を取るために大変な努力をしてきました。今回の発見は、その努力報われる素晴らしいニュースです!」と語っています。 一方で、サムツェ地区の森林担当によって、遠隔操作できるカメラトラップを使用し、トラを監視し、この地域のパトロールの強度を高める予定です。カメラトラップの設置は、サムツェの森林公園局によるレッサーパンダ調査の一環として実施されました。 ブータンでは、過去10年間でトラの個体数が着実に回復してきています。UAPACAAパートナーズの協働先であるWWFブータンは、今回のような事例を積み重ねるために、密猟の防止、調査の実施、ランドスケープ全域での生息地の保全、そして、人間と野生動物の軋轢の管理、地域社会の利益の確保などの現場の活動を支援しています。 |