日本人には馴染み深い干支ですが、古代中国からアジアに広く伝わり、暦などに使われる数詞です。この十干十二支が一回りすると、人間は「還暦」を迎え、長寿を祝う会が催されるのも、東アジアに共通の風習のようです。 ただ、十二支の中身を見ると、微妙に動物が入れ替わっていて、お国柄が出るのも面白いところ。UAPACAAパートナーズがプロジェクト支援をしているブータンでは、チベット仏教の暦を使いますが、何と卯年の代わりにネコ年があります! 12種類しか入らない動物の中で、直前に寅年があるにも関わらず、さらに猫を加えるというのは、よほどネコが身近な人々という気がします。実際、ネコ年を持つ国にふさわしく、ブータンには野生のネコの仲間が、トラを筆頭に10種類も生息しています。 インドと軒を接する南部、国境を越えたマナス保全地域(TraMCA)には、このうちユキヒョウを除く9種類が確認されています。ただ、どんなところに何頭ぐらい分布しているのか、といった生息状況については、2015年に、トラの全国調査のレポートがまとめられたところで、その他の仲間のことはわかっていません。 TraMCAの森を歩くと、川沿いの湿った砂地や、塩舐め場と呼ばれるミネラル豊富な泥地に、大小さまざまな肉球マークがついていて、さすが亜熱帯の密林と感心させられます。トラのものは自分の手を広げたより大きくて、体重で泥に深く沈み込んでいる迫力を観ると、「近くにいないでしょうね」と思わず振り返り、冷や汗が噴き出るのも確かですが…。 ネコの楽園、TraMCAランドスケープを守っていくためには、まだまだやらなければならないことが残されています。南から国境を越えて侵入してくる、密猟者の取り締まりをインド政府と協力して行うなど、国際協力が重要なことは言うまでもありません。2013年には、残念ながら識別されてモニタリングされていたトラが、密猟の犠牲になるという悲劇もありましたが、その後の協力の強化もあり、ブータンでは過去10年間でトラの個体数が増加しています。
しかしながら、昨年から世界を襲っている新型コロナのパンデミックが、どれだけ保護活動に影響してくるか見通せない、不安な状況が現地でも続いています。まずは今、日本から支援できることを、皆さまのお力でで届けさせてください!
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