2000年代の初めから世界的に密猟が急増し、中でも象牙の人気は衰えることなく、今日も密輸品市場の中心となっている。象牙は、日本政府も批准しているワシントン条約(CITES;絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によって、外国への持ち出し、持ち込みが禁止されている。ところがワシントン条約事務局によると、2011年〜2016年に日本から持ち出され、押収された象牙は2.4tもあった(WWFジャパン・トラフィックの報告書より)。そのほとんどが中国向けの密輸で、日本に持ち込まれた象牙は43kgというから、国内は大きな違法象牙の市場とはなっていないようだ。 しかし、野生のゾウがいるわけでもない日本の、どこにそれほどの象牙があるのだろう。日本もアジアの文化圏の一員で、古くは奈良・平安時代から、象牙を富の象徴として珍重してきた。実は日本には、そんな伝統の結果として、大量の象牙備蓄がある。おそらく、ワシントン条約ができる前、象牙の価格が高騰する前に各地で購入し、家庭で保存していたものが、現在買い取られ流通しはじめてている。 塵も積もれば…というのはこのことで、普段はほとんど見かけず、見ても気づかないくらい小さく控えめな象牙や象牙製品、各家庭にあるわずかな量を集めて2.4tにもなるとは、驚きだ。日本では今の象牙の価値が一般に知られていないだけで、違法だと知りながら、外国人をターゲットにした象牙製品のお土産販売や、象牙ツアーなるものを開催している人も、実は少なくない。 【もっとお読みになりたい方はこちら】
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