2014年2月12日、イギリス政府の呼びかけで、国際的な野生動物違法取引対策(IWT)に関する史上最大規模の会議が開かれた。この会議でIWTに関するロンドン宣言(London Declaration on the Illegal Wildlife Trade)が打ち出された。
2014年から3回の会議を経て、昨年10月11、12日に再びロンドンでIWT(野生動物の違法取引)会議が催された。4年前のロンドン会議は違法取引問題の分岐点であったはずだが、残念ながら未だ目覚ましい成果は見られず、野生動物の減少を食い止めきれていない。 その理由として、違法取引の主な供給国となっているアフリカで、不安定な政治や国家予算不足により、レンジャー(密猟取締隊、パトロール隊)の派遣など、ロンドン宣言に沿うような対策を十分、実現できなかったことが挙げられる。これを受け、今後は以下の3つのポイントに、より注力していくことになった。
4回にわたる会議で「国際社会の連携、多面的な対策」が強調されてきたが、各国で温度差があるようだ。特にアフリカでは、ただでさえ国家予算が不足し、国民は教育や社会保障など満足に受けることが出来ないのに、なぜ人間より動物を優先するのかという批判もあるだろう。先進国の中でも、今のところ、これといって画期的な取り組みは見られず、消極的な態度も伺える。 IWTの問題が厄介なのは、現状を数値化するのが難しい点だ。もともと”密猟”なので、正確にどのくらい動物が減ったのか特定できず、密猟品の押収が増えても密猟自体が減ったのかどうか特定するのは難しい。野生動物を相手にする上で、このIWT自体が持つ、数値化できない性質が4年間の努力を見えにくくし、参加国のモチベーションを下げているのかもしれない。 グローバリゼーションとともに、世界中に広がってしまった野生動物の違法取引。目に見える成果、数字ばかりを追うと、見落とす課題も多い、国際社会の闘いである。 コメントの受け付けは終了しました。
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