UAPACAA国際保全パートナーズもようやく1歳。 |
「なんだこの生き物は!?」 目がクリッとしていて全身が鱗に覆われている、それでも哺乳類の仲間のこの生き物は、センザンコウである。アフリカとアジアに広く分布し、アフリカでは食肉として、中国では漢方薬や媚薬の原料として、長年重宝されてきた。そんなセンザンコウも、今やIUCN(国際自然連合)のレッドリストに登録され、「世界で最も非合法に取引されている哺乳類」と呼ばれている。2000年代に入って世界全体で野生動物ビジネスの人気が上昇するとともに、センザンコウの需要も増え、価格は1972年に比べ6倍に跳ね上がった。結果、ジャングルの狩人から世界を股に掛ける商人まで、多くの人々がこの実入りの良い仕事にシフトするようになった。センザンコウの乱獲を食い止めるためには、政府レベル、またはそれ以上の保護政策が必要になっている。 しかしながら、センザンコウはアフリカでは伝統食材として親しまれ、その捕獲は文化の一つであり、猟を全面的に禁止することに対して、国民の納得を得るのが難しい状況だ。さらに、取り締まる側が賄賂などを受け取り、密輸を黙認するという問題もしばしば起こり、政府関係者の腐敗もまた課題なのである...。(Y.K.) 【もっとお読みになりたい方はこちら...】 |
2014年に開催されたロンドン会議を受けて、その後も2回、IWT対策を検討する会議が行われた。2015年、ボツワナ会議ではロンドン宣言(London Declaration on the Illegal Wildlife Trade)の再確認と、マネーロンダリングの問題が取り上げられた。2016年にはベトナムで会議が開かれ、同じく宣言のおさらいと、違法市場の縮小などに焦点が当てられた。ゾウの違法取引撲滅に長年取り組んできたボツワナと、アジアで密輸品の大きな市場となっているベトナムで、自発的に会議が開かれたことは、参加国が努めて違法取引問題解決に取り組んでいる証左であろう。その他、アメリカ、中国、香港、台湾も、国内の象牙取引禁止の方向に動き出した。
そして昨年10月、再びロンドンに、IWT対策会議は戻ってきた。今回は50カ国以上の代表、その他政府関係者も含めると70カ国以上が集まる、さらに大規模なものとなった。過去3回の会議の要点を盛り込んだ、新たな宣言が採択されたが、実はこの4年間でいまだ目ぼしい成果は見られず、野生生物の減少スピードを食い止めきれていないのが現状だ。
密猟というアンダーグラウンドで行われる犯罪、野生生物という一見遠い存在、このような数値化が難しい問題が、4年間の努力を見え辛くしているのかもしれない。(Y.K.)
【もっとお読みになりたい方はこちら...】
そして昨年10月、再びロンドンに、IWT対策会議は戻ってきた。今回は50カ国以上の代表、その他政府関係者も含めると70カ国以上が集まる、さらに大規模なものとなった。過去3回の会議の要点を盛り込んだ、新たな宣言が採択されたが、実はこの4年間でいまだ目ぼしい成果は見られず、野生生物の減少スピードを食い止めきれていないのが現状だ。
密猟というアンダーグラウンドで行われる犯罪、野生生物という一見遠い存在、このような数値化が難しい問題が、4年間の努力を見え辛くしているのかもしれない。(Y.K.)
【もっとお読みになりたい方はこちら...】
2014年、イギリス王室も呼びかけに加わり、IWT(Illegal Wildlife Trade; 野生動物の違法取引)対策に関する世界最大規模の会議が、ロンドンで開かれた。その前から各国政府による対策が試みられてはいたが、今回のように46カ国の代表とその他国際機関が集まる会議は、IWT問題にとって大きな分岐点となった。
そもそも、なぜロンドン会議が開かれたかというと、従来の個別の保護策では野生動物の減少スピードを食い止められる、希望がほとんどなくなっているせいだ。できるだけ多くの国の代表に現状を知ってもらい、イニシアティブを取ってもらう必要がある。第二次世界大戦後、アフリカで巻き起こった野生動物の乱獲。1970年ごろからの自然保護ブームでいったん下火になったと思いきや、2000年代に入ると再燃し、アフリカでは実に、万の単位でゾウが犠牲になっている。その象牙はアジアへと、何千キロも違法に旅をする。
この会議ではロンドン宣言が採択され、4つのアクションに焦点を当てているが、中でも注目は法整備だ。野生動物が多く生息するアジア・アフリカの国々では、しばしば野生動物管理に付随する法体系が確立していない。そのため、密猟をしても罪に問われなかったり、取り締まりの基準が緩いし、賄賂を初め国家公務員の汚職が横行して、ゾウが大量に密猟される結果になっている。だからこそ、原産国、消費国双方で統制のとれた法体制を確立し、IWTを締め出すことが必要なのだ。
もう一つ、地域住民のことも忘れてはならない。彼らは野生動物の一番近くに住んでいる人々だ。彼らと協力し、自然資源に頼り過ぎない持続的な発展を支えることで、住民の密猟への加担を止められるようになれば、ゾウたちの生き残りにも道が開けるだろう。
【もっとお読みになりたい方はこちら...】
そもそも、なぜロンドン会議が開かれたかというと、従来の個別の保護策では野生動物の減少スピードを食い止められる、希望がほとんどなくなっているせいだ。できるだけ多くの国の代表に現状を知ってもらい、イニシアティブを取ってもらう必要がある。第二次世界大戦後、アフリカで巻き起こった野生動物の乱獲。1970年ごろからの自然保護ブームでいったん下火になったと思いきや、2000年代に入ると再燃し、アフリカでは実に、万の単位でゾウが犠牲になっている。その象牙はアジアへと、何千キロも違法に旅をする。
この会議ではロンドン宣言が採択され、4つのアクションに焦点を当てているが、中でも注目は法整備だ。野生動物が多く生息するアジア・アフリカの国々では、しばしば野生動物管理に付随する法体系が確立していない。そのため、密猟をしても罪に問われなかったり、取り締まりの基準が緩いし、賄賂を初め国家公務員の汚職が横行して、ゾウが大量に密猟される結果になっている。だからこそ、原産国、消費国双方で統制のとれた法体制を確立し、IWTを締め出すことが必要なのだ。
もう一つ、地域住民のことも忘れてはならない。彼らは野生動物の一番近くに住んでいる人々だ。彼らと協力し、自然資源に頼り過ぎない持続的な発展を支えることで、住民の密猟への加担を止められるようになれば、ゾウたちの生き残りにも道が開けるだろう。
【もっとお読みになりたい方はこちら...】